滞在許可証
もうすぐブドウの収穫。
この辺りは赤ワインが主体だが、白ワインを作っているところは
もう始まっているところもあるようだ。
一大イベントのメドックマラソンが終わり、この収穫の時期は
ワインの仕事に携わっている人間は、さすがフランス人でも
早朝から夜まで休みなく働く一番忙しい季節である。
一面のブドウ畑に実った膨大な量のブドウを
一番ベストな状態になった時に短期間で摘み取らないといけないので
人手も足りなく、近隣の国から出稼ぎに来る人々も多い。
そんなわけで、私も某有名シャトーから友人を通して
仕事の話があり、3週間ほどまかないを作るお手伝をすることとなった。
娘の預け先も見つけて準備は万端!
そして契約書を作るのに身分証明書持ってきてね、
と言われ
「滞在許可証…ですね…?!」
と答えてハッと気づいた。
フランス人と結婚しているといっても
私はフランスでは所詮「外国人」。
滞在許可証が必要だし、最初は1年ごとに更新しなければならない。
その更新をお役所仕事の遅いフランスでは
2ヶ月前から申請するべきだったのが、すっかり忘れていて
ギリギリに村役場に行くと
「係りの人はバカンス中で3週間は戻りません」
との返事…
待ってたら期限切れで不法滞在になるよ~!と
訴えても
「大丈夫、大丈夫、良くあることだから。
彼女(担当者)が帰ってきてからしましょうね
」
と待たされているところだったのだ。
バカンス取るのは結構だけど仕事代行できる人残してくれ~
というのは日本人の考えで、ここはフランス。
「彼女がいないんだからしょ~がないわ」
そうですね… 私が悪うございます。
そしてその通り気づいたときには私の前年のビザは切れていて、
正に「不法滞在」の状況であることに今更気づいた方も
のん気ではあるが…
そして急いでまた役場に戻って交渉しても
「無理よ~、ワタシタチできないもん!」の一点張り。
担当者が帰ってくるのは更に1週間後…
管轄の県庁に電話しても電話に出ない。
代表にかけると、担当の人はいるけど電話を取らない、とのたまう。
やっとつながったと思ったら、
「こっちでは直接受け付けられないから、役場で手続きして。
ま、遅れても何とかなると思うけど、保障はできませんね~」
というあいまいな返事…
何とかなるかも?ってキミ達の仕事だよね?!
あと1週間待ってから役場で手続きをして、それから
許可証が届くまで3ヶ月近く不法滞在者のまま待てというのか?!
通常その間に出される「レセピセ」と呼ばれる仮滞在許可証が
発行されるのだが、それ自体も2ヶ月ほどかかる例も
あると脅され、目の前は真っ暗…
そしてそんなときに一通の手紙が。
職業安定所(日本で言うハローワーク?)からだった。
「あなたのビザが切れたので失業手当も打ち切ります」
…
ここも相当いい加減な仕事で定評があるのだけど
こういった作業は抜け目なく素早い対応。
(そう、私は失業手当給付中の身だったのだ。)
・・・なんて感心している場合ではない
これは何とかせねば、ということで、バカンスからそろそろ
家には戻って来ているであろう友人でもある役場の「ビザ担当」の
おばちゃんの自宅に恐る恐る電話をし、事情を説明すると
「OK! 明日の朝役場にきたら私が手続きしてあげるから
」
という思いがけず快い返事。
今朝、息子を幼稚園に送った足で役場に行き
緊急で申請書類を作成し、田舎の郵便局は当てにならないので
(集荷は1日に一回、国内の郵便で1週間かかったことも)
そのまま車で約1時間のところにある県庁に直行!
その「レセピセ」だけでも何とか早くもらえないか
というだめもとの直談判をしに行った。
これさえあればビザ代わりで仕事もできるし
職業安定所に言い訳もできる。一日でも早く出してもらわねば。
しかし、フランスでの滞在許可証=役所というのは知る人ぞ知る
恐ろしい所。というか超いい加減なのに超ガンコ、
人によって対応どころかマニュアルまで変えてしまう。
例えば最初に問い合わせたときは
「証明写真3枚」
が次には「切り離していない白黒写真4枚」と変わる。
そして、書類が足りないと「ダメ、ハイ、サヨナラ」
という人がいれば隣では「足りない分は送ってね」と受け付けてくれたりする。
どんな人に当たるかはまさにポーカーのようである。
そしてドキドキしながらまず第一関門の窓口へ。
私が着いたのは10時過ぎだったが、すでに50人以上は待っている
長蛇の列
そこで待つこと1時間弱(思ったよりは早かった)。
そして事情を説明すると
「なんで直接持ってきたの?しょうがないわね~。」
とか言いながら隣の窓口の人と
「このコ、どうする?」
「ま、いいんじゃないのぉ~」ってかんじで
第二関門となる正式な窓口へのチケットを手渡してくれた。
ホント、いい加減だなぁ…と思いながらも
第一関門突破でまずはラッキー
そして正式な窓口へ。
ここも15近い窓口があり、どの人が親切そうかな~と
待ちながら品定め。
しかし呼ばれた窓口は一番行きたくなかった
不機嫌でいかにもやる気ゼロの怖そ~なお姉さん
クチャクチャとガムをかみながら、私の説明に聞く耳ももたず
「はい、とにかく書類出して」と冷たい言葉。
とうとう私の運もここで尽きたか…、と諦めていると
カタカタカタ…
とひたすら無言で何やら入力をしている。
「はい、ここにサインして」
と素っ気なく出された紙。
え?!これってレセピセ!!!
このビジュアル系ハードロック歌手のような
見た目は怖いお姉さん、
実はすごく仕事ができて優しい人なのか
本当にやる気がなくて仕事を早く済ませるために
厄介なことを避けて適当に受け付けてくれたのか
真意は定かではないが、とにかく直談判は大成功!
まさか即効レセピセをくれるとは思っていなかったので
感動を覚えるほどであった。
「メルシー、来年は気をつけます~」と言うと
「来年はないわよ、次は10年ビザで申請しておくから」
え
!もう10年ビザくれるの?!
3年間はもらえないと思っていたのに。
お姉さん、ありがと~
これで無事仕事もできます~
いい加減で頑固で本当に何年たっても腹の立つことが多い
フランスのお役所だけど、粘ればこうして「無理」なことが
「可能」になることもある曖昧さ。私も慣れてきたものだ。
久しぶりに「あ~、フランスに戻ってきたな~」
と実感したこの数日間デシタ。
(内心ホッ
)
この辺りは赤ワインが主体だが、白ワインを作っているところは
もう始まっているところもあるようだ。
一大イベントのメドックマラソンが終わり、この収穫の時期は
ワインの仕事に携わっている人間は、さすがフランス人でも
早朝から夜まで休みなく働く一番忙しい季節である。
一面のブドウ畑に実った膨大な量のブドウを
一番ベストな状態になった時に短期間で摘み取らないといけないので
人手も足りなく、近隣の国から出稼ぎに来る人々も多い。
そんなわけで、私も某有名シャトーから友人を通して
仕事の話があり、3週間ほどまかないを作るお手伝をすることとなった。
娘の預け先も見つけて準備は万端!
そして契約書を作るのに身分証明書持ってきてね、
と言われ
「滞在許可証…ですね…?!」
と答えてハッと気づいた。
フランス人と結婚しているといっても
私はフランスでは所詮「外国人」。
滞在許可証が必要だし、最初は1年ごとに更新しなければならない。
その更新をお役所仕事の遅いフランスでは
2ヶ月前から申請するべきだったのが、すっかり忘れていて
ギリギリに村役場に行くと
「係りの人はバカンス中で3週間は戻りません」
との返事…

待ってたら期限切れで不法滞在になるよ~!と
訴えても
「大丈夫、大丈夫、良くあることだから。
彼女(担当者)が帰ってきてからしましょうね

と待たされているところだったのだ。
バカンス取るのは結構だけど仕事代行できる人残してくれ~

というのは日本人の考えで、ここはフランス。
「彼女がいないんだからしょ~がないわ」
そうですね… 私が悪うございます。
そしてその通り気づいたときには私の前年のビザは切れていて、
正に「不法滞在」の状況であることに今更気づいた方も
のん気ではあるが…
そして急いでまた役場に戻って交渉しても
「無理よ~、ワタシタチできないもん!」の一点張り。
担当者が帰ってくるのは更に1週間後…
管轄の県庁に電話しても電話に出ない。
代表にかけると、担当の人はいるけど電話を取らない、とのたまう。
やっとつながったと思ったら、
「こっちでは直接受け付けられないから、役場で手続きして。
ま、遅れても何とかなると思うけど、保障はできませんね~」
というあいまいな返事…
何とかなるかも?ってキミ達の仕事だよね?!
あと1週間待ってから役場で手続きをして、それから
許可証が届くまで3ヶ月近く不法滞在者のまま待てというのか?!
通常その間に出される「レセピセ」と呼ばれる仮滞在許可証が
発行されるのだが、それ自体も2ヶ月ほどかかる例も
あると脅され、目の前は真っ暗…

そしてそんなときに一通の手紙が。
職業安定所(日本で言うハローワーク?)からだった。
「あなたのビザが切れたので失業手当も打ち切ります」
…

ここも相当いい加減な仕事で定評があるのだけど
こういった作業は抜け目なく素早い対応。
(そう、私は失業手当給付中の身だったのだ。)
・・・なんて感心している場合ではない

これは何とかせねば、ということで、バカンスからそろそろ
家には戻って来ているであろう友人でもある役場の「ビザ担当」の
おばちゃんの自宅に恐る恐る電話をし、事情を説明すると
「OK! 明日の朝役場にきたら私が手続きしてあげるから

という思いがけず快い返事。
今朝、息子を幼稚園に送った足で役場に行き
緊急で申請書類を作成し、田舎の郵便局は当てにならないので
(集荷は1日に一回、国内の郵便で1週間かかったことも)
そのまま車で約1時間のところにある県庁に直行!
その「レセピセ」だけでも何とか早くもらえないか
というだめもとの直談判をしに行った。
これさえあればビザ代わりで仕事もできるし
職業安定所に言い訳もできる。一日でも早く出してもらわねば。
しかし、フランスでの滞在許可証=役所というのは知る人ぞ知る
恐ろしい所。というか超いい加減なのに超ガンコ、
人によって対応どころかマニュアルまで変えてしまう。
例えば最初に問い合わせたときは
「証明写真3枚」
が次には「切り離していない白黒写真4枚」と変わる。
そして、書類が足りないと「ダメ、ハイ、サヨナラ」
という人がいれば隣では「足りない分は送ってね」と受け付けてくれたりする。
どんな人に当たるかはまさにポーカーのようである。
そしてドキドキしながらまず第一関門の窓口へ。
私が着いたのは10時過ぎだったが、すでに50人以上は待っている
長蛇の列

そこで待つこと1時間弱(思ったよりは早かった)。
そして事情を説明すると
「なんで直接持ってきたの?しょうがないわね~。」
とか言いながら隣の窓口の人と
「このコ、どうする?」
「ま、いいんじゃないのぉ~」ってかんじで
第二関門となる正式な窓口へのチケットを手渡してくれた。
ホント、いい加減だなぁ…と思いながらも
第一関門突破でまずはラッキー

そして正式な窓口へ。
ここも15近い窓口があり、どの人が親切そうかな~と
待ちながら品定め。
しかし呼ばれた窓口は一番行きたくなかった
不機嫌でいかにもやる気ゼロの怖そ~なお姉さん

クチャクチャとガムをかみながら、私の説明に聞く耳ももたず
「はい、とにかく書類出して」と冷たい言葉。
とうとう私の運もここで尽きたか…、と諦めていると
カタカタカタ…
とひたすら無言で何やら入力をしている。
「はい、ここにサインして」
と素っ気なく出された紙。
え?!これってレセピセ!!!

このビジュアル系ハードロック歌手のような
見た目は怖いお姉さん、
実はすごく仕事ができて優しい人なのか
本当にやる気がなくて仕事を早く済ませるために
厄介なことを避けて適当に受け付けてくれたのか
真意は定かではないが、とにかく直談判は大成功!
まさか即効レセピセをくれるとは思っていなかったので
感動を覚えるほどであった。
「メルシー、来年は気をつけます~」と言うと
「来年はないわよ、次は10年ビザで申請しておくから」
え

3年間はもらえないと思っていたのに。
お姉さん、ありがと~

これで無事仕事もできます~

いい加減で頑固で本当に何年たっても腹の立つことが多い
フランスのお役所だけど、粘ればこうして「無理」なことが
「可能」になることもある曖昧さ。私も慣れてきたものだ。
久しぶりに「あ~、フランスに戻ってきたな~」
と実感したこの数日間デシタ。
(内心ホッ

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コメント
No title
良かったですね!!一安心ですね。さらに10年カード!!
半分諦めてたのに、この急展開はさすがフランスですね。笑
じゃ、やっぱりあそこに行くんですか??
がんばってくださいねー
私たちもいよいよ始まりました
2010-09-17 21:47 ゆみ。 URL 編集
Re: No title
なので予定通り例の所で仕事もできます!
10年カードは以前滞在していた分を考慮してくれたみたい。
しかし、10年後、忘れてないかしら…?!(1年でさえ忘れる私…)
ゆみちゃん、教えてね~!
2010-09-19 03:58 KLEA(くれあ) URL 編集
No title
私は先週の木曜日に念願の10年カードを受け取ったので、今日は朝イチでCAFに行ってきました。
おねえさんに「ぎりぎりね。」と言われましたが、気にしない気にしない。。。
10年カードをもらって、この手の手続きから2020年まで開放されると思うとうれしいです。
次回、三人とも同じ年に更新ですね!!
2010-09-20 22:44 ぱるみえ URL 編集
Re: No title
次回(10年後)更新のときは連絡下さ~い!!
そのころ私たちはどこで何をしてるんでしょうね。
息子は14歳、娘は11歳…なんですよね~。
2010-09-21 15:49 KLEA(くれあ) URL 編集
No title
良かったね、これであの憂鬱から開放されるね!
2010-10-04 22:12 ラタフィア URL 編集
Re: No title
本当にプレフェクチュールにはできるだけ関わりたくないですネ…
早く本ビザが届くのを待ってます!
2010-10-10 01:37 KLEA(くれあ) URL 編集